#深層NEWS で、
暴力も罰もいらない前向きなしつけ『ポジティブ・ディシプリン』の考え方をご紹介しました。
この考え方は、効果的な育児の4つの原則で組まれています。
原則の中の「(温かさを与えることと一緒に)#枠組みを示す」というステップは、
18時間のプログラムでも、最初理解しづらいので、今回取り上げます。
まずは「枠組みを示す」を言葉のイメージ通りに説明します。
雨の日に2歳の子どもとお出かけするとします。
その時お父さんが「雨だからレインコートを着ようね」と言います。
子どもに話しかけるたくさんの可能性の中から、ここで「雨の日にはレインコートを着る」が、くっきり言葉の枠で組まれ(枠組まれ)示されたことになります。
このように、子どもが良い判断をし、健康や社会性、自律性を持って成長するために、私たちが示す情報や学びのサポートを「枠組み」と呼びます。
ここまでが、テレビでお話しした「枠組み」のおおよその説明です。実は、「枠組み」にはこの先があります。
私たちが示す「枠組み」を子どもがそのまま自分に取り入れない、または取り入れられないことは、よくあることです。
「(レインコートは)いや」と言われたのは、私だけではないでしょう。
「雨だからレインコートを着る」ことが、今のこの子に難しいのであれば、
着るまでの、もっとスモールステップを考えます。
例えば、
◉「雨に濡れると寒くなって、病気になるかもしれないから、雨に濡れないようにコートを着るんだよ」と着る理由を説明したり、
◉レインコートを自ら着てお手本を見せ、着るのを誘ったり、
◉着たくない理由を子どもに聞きその理由を解消する
など、スモールステップが考えられるでしょう。
このスモールステップこそ
私たち養育者が子育てで苦労する場面で、重要な役割を果たす
「枠組み(情報・サポート)」です。
スモールステップは、養育者の方は実は意識せずに行なっています。
例えば、赤ちゃんが歩くまで、どうするでしょうか。
1)最初につかまり立ちした赤ちゃんを見て、養育者は「すごいねー!」と喜びます。その喜びに反応して赤ちゃんは何度も立つことをし、立つというステップを完成させます。
2)次のステップでは、一歩進もうとする赤ちゃんを見て、養育者は一歩先にしゃがんで手を広げて待つでしょう。
3)次のステップでは、赤ちゃんが歩ける程度に合わせて養育者は離れ、赤ちゃんが歩きを達成するのを迎えることでしょう。
こうやって養育者は、子どもが歩けるようになるまで、
・できたことを喜び合いサポートを与え
・一歩歩いて手が届くところで「おいで」と情報とサポートを与え
・子どもの歩ける歩数に応じて、ちょっと頑張ればできる場所に待って
歩くという学びを、段階を踏んだスモールステップで支えています。
一人でまだ立てない子に、「こうやって歩くんだよ」と歩いて見せて、「ほら、やってごらん」などと高いハードルを課すことはないでしょう。
同じように、「時間を守る」「ある時間内に作業を完成させる」「人間関係を良好にする」などの非常に高度でハードルが高い目標を達成するためにも、
・一歩進める後押しになる情報とサポート
として段階を踏んだスモールステップで、地道に教え続けることが効果的です。
深層NEWSで、枠組みの中の例にあった「ルール」が話題になりましたので、ルールに関する具体例もあげてみます。
例えば、家に17時半までに帰るという家庭のルールがあったとします。
そのルールをいつも守れないなら、そのルールがその子の年齢や状況に合っているのか、子どもと話し合うことができます。
もしかしたら、学校から帰り宿題をやってから遊ぶというルールもあり、外遊びの時間が短いとか、遊び場まで時間がかかるとか、遊びから抜けられないとか、守れない事情があるのかもしれないですね。
門限は、子どもの安全を守るためにあるならば、
安全を守りながらも子どもが遊べるように、そして子どもがルールを守れるように、子どもと一緒に考えてみます。
もしかしたら、一緒の帰り道の友達の門限に合わせて帰る方が、安全に帰れるかもしれない。遊びから抜けるために友達になんて言うかを練習することがいいのかもしれない。日が長いうちは、門限をもう少し遅くしてもいいのかもしれません。
そんな風に、門限破りという課題を解決するため、
ルールの理由を伝え、ルールについて子どもの意見を聞いたり、公正で柔軟な態度でルールを変更したり、子どもが成功するための情報や考えるサポートが「枠組み」です。
『ポジティブ・ディシプリン』は、子どもの学習に効果的であるかに注目します。
レインコートを着ない子に「親の言うことは聞きなさい」と強引に着させて、子どもは何を学習するでしょうか。
門限破りをする子に、「約束を守れないなら遊びは禁止」としたところで、子どもが約束を守ったり安全に帰宅するための学習に効果的でしょうか。
私たち大人は、子どもをコントロールしたいわけではないでしょう。
子ども自身が、健康のためや人との共生のため、自分の成功のために、自分をコントロールできる術を教えたいのだと思います。
子ども自身が自分を律し、良い判断を選択できるような学習に効果的かが重要です。
それには、頭ごなしに「これをやりなさい」と子どもに思考停止の行動を求めたり、
「できないなら禁止」とできるためのアイディアを探さず苦痛を与えるのは、
効果的な学習法ではありません。
一緒に、できるためのアイディアを試した方が、子どもの学習には効果的です。
枠組みは、子どもが次に同じような場面に遭遇した時、成功できるように必要な情報与えます。
枠組みは、親がいないときも、正しい行動が取れるように必要な準備をさせます。
たたいたり怒鳴ったりではなく、温かさを与え、枠組みを示し教えることで、人に対して、暴力を使わずに建設的に解決する方法を示すことができます。
温かさを与え、脳が学ぶ良い環境を整え、枠組みを示すことが、子どもの学習には確実です。
関係する記事は↓
Comments