「ポジティブ・ディシプリン(前向きなしつけ)」と言うと
○子育てをいつもポジティブにできる ○ネガティブな気持ちを感じなくなる
と期待をされる方もいらっしゃるかもと思います☺️
私がポジティブ・ディシプリンをしていて思うのは、
○問題をただ楽観的に考えることはなく ○無理にネガティブな気持ちを追いやらず
現実的で建設的な子育てだということです。
なぜなら、ポジティブ・ディシプリンはこんな風に子育てに取り組むからです。
【ステップ1:課題を解決する(ためにまずは課題を特定する)】 自分が問題だと感じる子どもの行動を、楽観的に放って置かず、また大ごとにもせず、誰でも見える事実(子どもの行動)を課題に据える。
〜例えば、レストランで大声を出す子どもに「誰かに怒られたら気づくでしょう」とか「子どものすることだからしょうがないでしょう」と楽観的に放っておかず、一方で「周りのことも考えず悪い子!」とか「みんなの迷惑になって、食事にも出られない」とかでもなく、
「レストランで大声を出していること」を課題とします〜
【ステップ2:子どもの感じ方、考え方を理解する】 自分のネガティブな気持ちは抱えたまま、子どもの発達段階や気質も踏まえて現実的に、子どもの行動の理由を考える。
〜例えば、「レストランで大声を出していること」が課題なので、なぜ子どもはこんなことをするのだろう?レストランなのに大声を出しちゃうんだろうと、子どもの感じ方・考え方の理解を試みます。
レストランで大声を出す3歳の子どもの場合、この年代は目の前に見えるものに注意が引っ張られて、他の人からの視点(人の心・規範・価値観など目に見えないもの)の獲得はこれからの発達という時期です。
加えて、ありとあらゆることを知りたがる科学者であり冒険家で、頭脳は目を見張るほど発達していて、自分が何でも学べることを知っています。
この年代の子どもは、「周りの迷惑を顧みずやっていて自己中心的でワガママ」というより、「周りの迷惑に気づかず、あらゆるものを理解しよう触れてみようと興味を持ち活動する探検家」と言えるでしょう。
とすると、この子の行動の理由は「人がうるさいと感じる声の程度が分かっていない」「周りの人の気持ちをまだ知らないでいる」「とても楽しくて興奮している」など、課題が生まれる理由が考えられます〜
【ステップ3:子育ての長期的目標を決める】 子どもになって欲しい成人像をイメージし「長期的目標」とする。 具体的には、20歳になったお子さんになってほしい性格や特性、人柄、加えて20歳の時なっていたい親子関係「長期的目標」決めておき、いつも思い出せるようにする。
〜例えば、20歳になった時子どもに「やさしい人」になっていて欲しいとか、親子関係としてはたまにご飯を食べて近況を報告しあえる関係、とか自分の長期的目標を思い出します〜
【ステップ4:温かさを与える、枠組みを示す(をセットで)】 子どもの安心感・安全感を保つ温かさを持って、
子どもと一緒に課題を解決する情報提供やサポート提供をする(枠組みを示す)。
〜例えば、「レストランで大声を出している」からと、子どもを外に引っ張り出して「もうレストランには来ないよ!うるさくて悪い子ね!」と怒鳴るとすると、子どもの安心感は脅かされて、怖いとか怒りの感情だけに留まってしまうかもしれません。
外に連れ出して、「私の話を聞いて。落ち着いて。大きな声になってるけど、どうしたの?」と落ち着いて聞くことによって、子どもは安心感を持って、私たちの声に注意を向けられるようになってきます。
子どもが、自分の注意力を養育者の方に向け、自分の頭で考えられる安心な環境を作ったところで、「あの人見てごらん。大きい声でびっくりしていたよ。私もご飯の時に大きな声を出されると、のどが詰まっちゃうよ。レストランでは、これくらいの声でお話するんだよ。〇〇ちゃんも、同じくらいの声を出してみて。」などと、レストランでうまくやれるための情報や学びのサポート「枠組み」を与えることができるでしょう〜
1回の衝突場面で、課題解決!と行かないことは、もちろんあります。
子どもがその行動をする理由が、自分が思いついた理由と違うことも、もちろんあります。そんな時は、また違う理由を確認して、温かさと枠組みで教えます。
「教えた」として、子どもが「わかる」こと、そして「できる」ことは、それぞれ違います。それは私たち大人だって、同じでしょう。一度自分の心に決めたことを忘れてしまう、もうしないと思ったことをまたしてしまう、そんなことは人間は完璧でないので必ずあります。
でも、何度も繰り返すことで、身につけることができるでしょう。
この繰り返しが、子どもを理解することであり、親子のコミュニケーションとなります。
ポジティブ・ディシプリンはこのように、親子の間の課題を、子どもと一緒に解決する子育ての方法です。
子どもと衝突するのも現実、 自分に沸き起こるネガティブな感情も現実、 子どもとの課題を自分中心に見るのでなく課題中心に見るのは現実的、 子どもの行動の理由を発達段階や気質に照らし合わせて考えるのも現実的、 どれもそのままに受け止めて、今あるところから前(先)に向かって改善策を講じる対応をする、
ポジティブ・ディシプリンはそんな現実的で建設的な子育てです。
2019.6.22 加筆修正。