ポジティブ・ディシプリンの考え方は3つの柱から構成されています。それは
1)子どもの健やかな発達の研究
2)効果的な育児の研究
3)子どもの権利
です。
今回は3)子どもの権利👶を取り上げてみます。
私がポジティブ・ディシプリンを実践しているうちに、
この「子どもの権利」の視点が身についていて
子育てに役立つ考え方や行動ができたというお話しをしたいと思います。
子どもの権利の視点は、
子どもの命や成長を大切にするために、国・社会がどんなことができるか
「子どもの権利条約※1」としてまとめられ、世界中のほとんどの国が約束しています。
※1日本ユニセフ協会抄訳 https://www.unicef.or.jp/kodomo/kenri/syo1-8.htm
子どもの命や成長を大切にするということは
子どもを弱者や未熟者とみなして、守り、保護を与えるのではなく
子どもという存在を発達過程に配慮しつつそのままに人間として認め、
当然、人としての権利を持った存在として共に暮らすこと と言えると思います。
====ここで、私の子育ての日々に一旦ワープ====
先日、高学年の娘が帰宅し、内科検診について不愉快そうに話した。
「今日の内科検診で、女の子も上すっぽんぽんだったんだよ。
それも病院の先生が男の人なのに!
養護の先生に『うえ裸なの嫌なんですけど』と言ったけど
『お医者さんだから大丈夫』って言われた」
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子どもの持つ権利って一体何を意識したらいいか
ユニセフでは4つに整理しています(条文は54条)。以下引用します。
①生きる権利
防げる病気などで命をうばわれないこと。病気やけがをしたら治療を受けられることなど。
②育つ権利
教育を受け、休んだり遊んだりできること。考えや信じることの自由が守られ、自分らしく育つことができることなど。
③守られる権利
あらゆる種類の虐待(ぎゃくたい)や搾取(さくしゅ)などから守られること。障がいのある子どもや少数民族の子どもなどはとくに守られることなど。
④参加する権利
自由に意見をあらわしたり、集まってグループをつくったり、自由な活動をおこなったりできることなど。
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私は、娘が言った意見(④参加する権利の表現)はもっともだなー、と思い
「そうだね。学校に話そうね」と娘に言った。
そして、担任の先生に連絡帳で
「内科検診の際ですが、上半身裸で行ったとのことですが、
体の変化も出始めている年齢で、本人が嫌がっているのでご配慮をお願いしたいです。
普段の病院でも、服を着たまま聴診するという配慮がなされています。」
とお伝えした。
先生は早速娘と話した後、学校管理職とお話くださり、ご連絡をくれ
「他にも嫌だった子がいたようで、今後対応していきたい」と言ってくれた。
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子どもの権利条約の3条および12条は以下のように書かれています。
第3条 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
第12条 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
つまり(「措置」とはありますが)
子どもに関係のあることをする場合、子どもの最善の利益を考えて行うようにすること
子どもは自分に関係あることについて、自由に自分の意見を言えること
それは、ただ独り言として言える、ということではなく、大人側が意見を受け止め考慮するんだ
という約束です。
内科検診の場面は、
子ども自身の体の健康のへ保護でもありますが
子どもの体のプライバシーがさらされたとも見ることができます。
子どもが「嫌だ」と言った場合
最善の利益は、
お医者さんの検診のやりやすさや、学校側の進めやすさの視点に偏っていないか
子どもの最善の利益を考慮しているか、見直すことができます。
今回の娘の話のように、
子どもの自由な意見表明は、子どもが自分の社会に関わる第一歩で
大人がその子どもの声を聞き、子どもに最善な方法は何だろう?と考え、対応すると
子どもの生活する環境や社会は良くなるし、
子どもは自分が社会を変えていけると自信と意欲が持てると思います。
ポジティブ・ディシプリンの効果的な育児の4原則に
「子どもの考え方・感じ方を理解する」という原則があります。
それは、子どもの発達段階とその特徴的行動を知り、
加えてその子が持って生まれた気質を知ることによって
子どもの意見表明(乳児の「泣き」や2歳児の「いや」も含め)を
より理解し、子どもの視点でその状況を見直すステップです。
「子どもの考え方・感じ方を理解する」のは
まさに、
子どもの意見表明に耳を傾け、心を寄せること。
それは、子どもに最善の利益を考える土台。
子どもの最善の利益は、子どもの最大限の発達のため。
ポジティブ・ディシプリンの実践は
こんなように「子どもの権利」を活かすことができます。
逆も然りで「子どもの権利」を知ることは、ポジティブ・ディシプリンを身につけるのに役立ちます。
「子どもの権利」もポジティブ・ディシプリンも、子どもの最大の発達のために生まれたものです。