前回のブログでは、
効果的な育児の4原則の
『#温かさ(安心)を与える』と
『#枠組み(情報やサポート)を示す』こと
について、ハグハグキャンペーンをヒントにしました。
今回も、 『ポジティブ・ディシプリン(前向きなしつけ)』 が、効果的な子育ての拠りどころにしている原則を、見ていきたいと思います。
ポジティブ・ディシプリンは、科学的な研究と子どもの権利という世界的なルールをベースにしています。効果的な育児の4つの原則もまたそうです。科学的な研究を発信し、子どもが健やかに育つ環境づくりに貢献しているチャイルド・リサーチ・ネットさんの記事を参考にします。
安西 祐一郎氏(独立行政法人日本学術振興会理事長)が以下のようにお話されています。
認知科学の研究によれば、社会情動的スキルは、「気持ちの通い合う人のつながり」「いつも変わらずに応援してくれる人たちの存在」「安心して戻れる場所」「一生振り返ることのできる温かい記憶」といった要因によって、高まっていきます。
『温かさを与える』とはまさに
「気持ちの通い合う人のつながり」
「いつも変わらずに応援してくれる人たちの存在」
「安心して戻れる場所」
そういう関係性です。
その『温かさ』があると、子どもの学習(『枠組み(情報やスキル)』)が促進されます。
乳幼児は、実はとっても積極的に学習しています。学校教育を受けた私たちが「学習」をイメージすると、教科学習・テスト勉強など偏った学習イメージが強いのではないでしょうか。
でも学習には、アインシュタインのように実験的に試行錯誤することや、体験すること、繰り返してスキルを獲得すること、失敗することなど様々な学習方法があります。加えて、人間には学習(発達)の順序やステップがあります。記事から抜粋すると
例えば、赤ちゃんは、親を始めとする身近な大人とのかかわり、相互作用を通して、共感やコミュニケーション、知覚・運動・感情・記憶といった様々な機能を発達させていき、そうした中で言語を習得していきます。そして、言語の習得によって、情動の発達はさらに促進されます。だからこそ、社会情動的スキルと認知的スキルの両方がバランスよく発達するよう、家庭や園が力を合わせて子どもを支える必要があるのです。
まさに、赤ちゃんは相互作用(泣いたら誰かが来てくれるとか)から、
心や体や脳(情報処理)の成長をしていて、
相互作用による『温かさ』を得て外の世界を実験的に探検・冒険し、繰り返し同じことをして調査し、世界を理解していきます。
私たち養育者との相互作用によって、
赤ちゃんは口から音を出すことを積極的に行い、骨格筋力など体の発達に伴って喃語が話せるようになり、心身の発達の上に言語が話せるようになります。
そして、言語が、子ども自身の衝動性や攻撃性など感情の高ぶりをコントロールするのを助けてくれ、周囲とうまくやっていく力を育みますし、新しいことを学んだり、記憶したり、楽しく自分の世界を広げる支えとなります。
ポジティブ・ディシプリンの4原則には
『#子どもの考え方・感じ方を理解する』
という原則もあります。それは、子どもの発達段階や気質を知って、今目の前にいるその子だから持つ考え方や感じ方を理解するということです。
2人以上子どもを育てている養育者さんから、度々伺うお話があります。
「上の子を育てた経験から、これくらい子どもはよくすると分かっていて、下の子がすることは気にならない。カワイイとまで思える。上の子の時にはいっぱいいっぱいで、口うるさく言っていたのに」
『子どもの考え方・感じ方(発達段階)を理解する』ことは
子どもを誤解することなく、心のゆとりを持って導く助けとなります。
赤ちゃんと18歳の子では『温かさを与える』方法はどんなものがふさわしいのかな、
幼児への期待が、発達を知らないために過度に高い要求になっていないかな、
自信を持った人に成長するためにはどんな発達のステップがあるのかな、
などを、発達段階を理解することによって知ることができます。
記事の最後の方に書かれています。
あるいは、「社会人になってからの問題と保育・幼児教育の問題はあまり関係がないのではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、子どもの成長には途切れがなく、その間の教育にも連続性があります。
私たちが懸命に行う
泣き止まない赤ちゃんを途方にくれながらも抱っこすること
言葉でコミュニケーションが十分にできない危なかしく動き回る1〜2歳の子の安全を守ること
感情のコントロールが発達的にまだまだ難しい3歳児に、何度も言って聞かせることなど
全て無駄ではありません。将来、子どもが思い出して話しはしませんが、日々の相互作用として子どもの成長の豊かな土壌になっています😄
そして子どもの発達を最大限サポートするには
『温かさを与え』『枠組みを示す』のが効果的だと、
ポジティブ・ディシプリンは原則としてお伝えするのです。
引用記事内の調査研究:幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査(ベネッセ教育総合研究所)