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執筆者の写真ポジティブ・ディシプリン コミュニティ

子育てについての私の考え、自分を困らせてないかな?


以前は、大家族であったり、多世代家族であったり、地域が開放的で親族のように付き合ったりしていたので、子育ては自分の経験の中で学ぶことができたように思います。


自分の素朴理論が、自分を困らせることも

 現在は、自分の育児に関する少ない経験から作り上げた素朴な考え(素朴理論と言います)は、子育てに役立つ面もあれば苦しめる面もあるので、ぜひ、ポジティブ・ディシプリンのように、子育てについての情報を提供しているペアレントトレーニングを活用してもらえるといいなと思います。

 素朴理論はたくさん考えられますが、以下に一部をご紹介します。言われてみると、自分もそう思ってる!というものはありますか。

1)母性が女性特有のものである

  もし、母性(子どもはかわいい、育児は楽しい)というのが女性特有であると思えば、疲れていて子どもが意地悪に思えてかわいくないと感じたり、育児がしんどいと思ったとき、自分を母親失格だと感じてしまうかもしれませんね。

  調査で分かっていることは、母親の育児への肯定感は、父親並みで、母親だからこそ持つものではないこと、注目されるのは、父親の育児参加が多いほど母親の育児肯定感が高い関連があることでした。

2)保育園に入れられる子はかわいそう

  これは、私も言われたことですが、調査結果を引用し要約説明している論文を引用しますと

家庭でも保育所でも、子どもの置かれている状況が良いことが重要だというのである。例えば、母親を含めて養育者に大切なことは、子どもの状態に敏感になり応答的であること、子どもを受け容れて統制の少ない方法を取ること、である。子どもの状態に敏感に応答するには、養育施設では保育者数が十分であること、母親が精神的に安定していることが重視された。

3)しつけるのに叱るのは効果的だ

 森下・本島(2005)の調査で、叱る行為が子どもの行動に影響を与えていたのは「従順」と「情緒的成熟(例:いつまでも怒っていないで自分で機嫌を直す)」の2領域のみで、「自立」ではあまり効果はなく、「社会的スキル」「言語による自己主張」「学校関係スキル(例:興味あることを図鑑や辞典で調べる)」に関しては叱る頻度が高いほど、その行動の実現を阻害していることが明らかになっています。

私としては、叱ることでプラスの影響が示された「従順」と「情緒的成熟」に関しては、発達と捉えるのか、自立を妨げていると捉えるのか、考えたいところです。

4)子どものかんしゃくの原因は親の対応の仕方に問題がある

 子どもの「かんしゃく」というのは、即問題行動ではなく、逆に年齢や状況によって健やかに成長している時に必ずあるものです。また、子どもの発達は、親だけが育てるのではなく、外部からの働きかけが大切です。しかし、養育経験がない、または少ない人は、養育経験が多い人に比べ、親の問題と捉える傾向が高いです(笠原,1996・水田,2007)。

 子育ての間違った素朴理論を修正するには、世界中の研究や調査で導き出された理論が役立ちます。ポジティブ・ディシプリンは、セーブ・ザ・チルドレンとマニトバ大学の不断の研究により、世界の子どもに関する研究の知見を取り入れ、皆さんに整理して情報提供します。

 どうぞ、一人で育児を抱え込まず、パートナー、小児科医や保育士さんや先生、私たちのような育児仲間、育児支援者と繋がって、子育てをしましょう😄素朴理論を作る経験値が上がります。親族・家族が近くにいなくても、専門家や地域は近くにいます。一緒に子育てを支え合いましょう。

引用

1)2)高橋惠子(2015)「家族についての素朴信念からの解放のために−発達心理学からの提案−」

3)森下正修, 本島優子(2005)「子どもの行動実現に対する親の発達期待と叱る行為の影響」

4)笠原正洋 (1996)「保育志望学生のもつ素朴な信念が育児面接場面の理解に及ぼす影響: かんしゃくの子どもをもつ母親の仮想事例」

水田茂久(2007)「女子学生の発達帰属意識について」

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