今年は『子どもの権利条約』制定30年日本が批准して四半世紀のメモリアルイヤー。
〜特集記事 第6弾!〜
日本の政治の場でも『子どもの権利』という言葉が出てくるようになりました。
2016年6月、児童福祉法が改正されましたが、
その条文で『児童の権利に関する条約』(子どもの権利条約)が登場しました。
第一条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。
何が変わったかというと、子どもはこれまで保護を受ける受け身の立場だったのが、
愛され、保護を受け、自らの力を最大限に発達させ、自立するために保障される権利を持つ
権利の主体となったことです。
以前、子どもの権利条約12条について、記事でご紹介しています。
今回は、12条に続く、第13条は表現の自由について考えてみたいと思います。
子どもは表現の自由への権利を有する。この権利は、国境にかかわりなく、口頭、手書きもしくは印刷、芸術の形態または子どもが選択する他のあらゆる方法により、あらゆる種類の情報および考えを求め、受け、かつ伝える自由を含む。
私はこの考え方を、表面的にしか理解していませんでした。
先日、ポジティブ・ディシプリンのファシリテーター仲間でもある友人が関わる活動(エル・システマジャパン)を見て、理解が深まりました。
きっかけを与えてくれたのは、
声の出にくい子どもたちが手話のような手の動きで音楽を奏で、
見えない子どもたちが歌う「ホワイトハンドコーラス」の活動でした。
そこで、ろう者でもある子どもが、練習を越えて、大きな発表会をやり終えた時に話してくれたこと。
「音楽は興味なかったし、ろう者にはムダだと思っていました。けれど、違いました。
音楽が体に伝わってきたんです。
こんな方法があるんだとわかって、自分も変わることができました。すごく変わったのです」
とても興奮して喜びいっぱいに話していました。
他の子でも、消極的だった子が、音楽で表現をするようになって、意見を言えるようになったり、積極的に生き生きと生活するようになった変化が見られました。
自分を表現すること、人と協力して表現を高めることは、その人を本当の意味で生かすんですね。
そこに興味を持った、やってみようと思ったということが
その子ならではの感受性で、個性の芽であり、生きる歓びの源泉であるかもしれません。
そして、そんな子どもの生き生きした表現は、私のような人たちを感動させ、可能性にワクワクさせ、希望を与えてくれるのです。
この子にはムダだと私が勝手に決めたり、
習わせて、費用対効果があがってないからやめた方がいいと決めたり
上手じゃないから人前でやらないほうがいいと勝手に決めないで、
子どもが好きなものや興味を持つことにアンテナを立て、大切にし、表現するのを励ますことが、
その子らしく育つのに役立つと思いました。
ホワイトハンドコーラスに参加するお子さんの養育者の方は、子どもの可能性に驚かされ、感動させられ、子どもから大きな力を受け取っていました。
子どもとのチャレンジングな活動を続け、子どもの様々な力を目撃しているユニセフでは、
世界子供白書2003年において以下のように伝えています。
世界に積極的に関わっていくよう最初の段階から奨励されてきた子どもは、子どもとして、そして世界の市民として、自分自身の意見や信念とともに他人の意見や信念も大切にするようになる可能性が高い。
今回例であげた芸術の側面だけでなく、子どもの生活面、学習面、社会活動においても、子どもの表現や意見を、大人が理解しようと注意深く注目し聞き取りをすることには、大きな可能性があります。
そのように育った子どもたちが、私たちに分かりやすくその力強さを発揮してくれています。
2018年気候変動枠組条約第24回締約国会議でのグレタ・トゥーンベリさんのスピーチです。
民主主義とは、子どもが乳幼児期から思春期を通じて成長していくなかで学んでいくものに他ならない。
子どもたちは、一般的に思われているよりもはるかに能力があるものであり、参加のスキルと力を伸ばしていく機会を子ども期全体を通じて提供されれば、民主主義社会の効果的な構成員となるために何が必要かということについても学習する。
ただし、子どもの意見を聴き、表現を大切にする、ということは
ただ子どものいいなりになる、と単純化してはいけないでしょう。
白書では以下のように述べています。
そのためには、おとな自身が新しい力を伸ばしていかなければならない。私たちは、子どもや若者の意見を効果的に引き出す方法、彼らの多様な声や様々な自己表現の仕方を認識する方法、そして彼らのメッセージを、それが言葉によるものであるかそうでないかを問わず、解釈する方法を学ばなければならない。私たちはさらに、子供と若者の意見に耳が傾けられ、正当に考慮される機会と、時間と、安心できる空間を確保しなければならない。そして、子どもや若者のメッセージと意見に適切な形で答える能力を伸ばしていかなければまらない。
暴力も罰もいらない前向きなしつけ『ポジティブ・ディシプリン』の
プログラムを修了する時、参加者の方に感想を伺います。
そこでよく以下のことが語られます。
「子どもの話をよく聞こうと思った」
「子どもにも子どもの気持ちがあり、子どもの行動にも子どもなりの理由があることがわかった」
「子どもの言い分を聞いてみないと分からない」
それは、「おとな自身が新しい力を伸ばした」結果と考えられます。
ポジティブ・ディシプリンは、押し付けることなく『子どもの権利』について学べ、考えられるしつけ支援の学習プログラムです。
子どもが見せてくれる個性や輝き、可能性を楽しみたいのであれば
あるいは、
子どもたちに社会を創る効果的な市民になって、次世代が創る社会の恩恵を受け取りたいのであれば
ぜひポジティブ・ディシプリン(前向きなしつけ)を試してみて欲しいと思います。
#子どもの権利条約
#子どもの権利
引用・参考:
NHKハートネットでの特集:ろうを生きる 難聴を生きる▽聞こえない子どもたちが伝える心のハーモニー
ユニセフのウェブサイトより「世界子供白書2003〜子どもの参加〜」
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