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執筆者の写真ポジティブ・ディシプリン コミュニティ

体罰について、禁止に違和感ありませんか

学校や園、病院を介して

体罰によらない子育てのリーフレットを目にしている方も多いのではないでしょうか。


体罰を使わない子育てに対して、抵抗感がある方には、様々な理由があると思います。

例えば、

・体罰をしないで子どもがちゃんと育つのだろうか

・体罰されて育ったけど問題なかったし、体罰が悪いとは信じられない

・体罰をしないで育てたいけど、やめられない

など。

今回は、「体罰が悪いとは信じられない」方に見て欲しいという内容です。


体罰をやめられない方には、先日ご紹介した「子どもへの体罰を根絶するために」明石書店の著者のメッセージから引用し、希望を持ってチャレンジを一緒にできたらと願います。

幸いなことに、育児行動というものには柔軟性があり、教育とトレーニングによって変容させることが可能である。体罰防止のために、様々なプログラムが開発されており、実際に養育者が体罰を行うことを予防・減少することを達成しているプログラムも数多い

私たちがお届けする ポジティブ・ディシプリンは、

養育者が子どものこころや体を傷つ ける罰を用いた子育てから少しずつ距離を置き、

子どもの健やかな 発達と学びを促すような子育てに移行していくことを目的として

養育者を支援するプログラムです。

体罰を使いたい理由は、多くの養育者にとって

子どもの望ましくない行動を減らし、望ましい行動を増やすためだと思います。


ある行動を増やしたり減らしたりする原理や方法について研究する

「行動分析学」という学問があります。

今回、引用する情報は、日本行動分析学会による「体罰に反対する声明」です。

この学会は、2014年に以下の理由で声明を出しています。

「体罰」が教育や指導、しつけに必要であり、有効であると信じる人がいまだに少なからず存在しているため

要約しますと、これまでの日本内外の研究より、以下の3点をあげています。

  1. 「体罰」は本来の目的である効果的な学習を促進しない

  2. 「体罰」には、副作用があり、情緒的反応や攻撃行動、その他多様な問題行動が生じる

  3. 「体罰」に頼ることなくより効果的に学習できる方法は存在する


1.では、体罰によって行動が変わると信じる人がいますが、科学的な研究からはもう半世紀以上から、体罰のような苦痛刺激を使った教え方の問題点が明らかになっているとして、次のような結果を紹介しています。

苦痛刺激を使った学習方法による行動の抑制効果は一時的で、その状況に依存しやすい。体罰でその時やめさせられても、学習はなく行動は後で生じるし、体罰を与える人の目が届かないところで行動が起きる。


2.体罰の副作用としては、

不安や恐怖、怒りなどの情動反応が高くなる。次に、うつっぽくなるし、場面や人間関係から逃げるといった社会的混乱が起こることがある。体罰を受けた場面ではおとなしくしても、違う場で自分より弱い人や動物を攻撃するようなことが起こる。


研究者の間では半世紀前から体罰は効果がないことが分かっていながら、実際の子育て現場ではあまり知られていないように思いませんか。


声明では、体罰がなくならない理由として、以下の2つと分析しています。

  1. 強い苦痛刺激が与えられると、その瞬間、ほとんど全ての行動が一時的に止まる傾向があり、教え手は望ましくない行動が減ったと感じるから

  2. 教え手が、他の教える方法を知らず習得してなかったり、学び手が学習するまでの時間を待ち切れないから

2については、

体罰以外の教え方は、特に教え手に対して早く指導の成果を出すような圧力がかかっている場面では、採用がされづらいだろうと述べています。

確かに、部活動で毎年成果をあげたい先生が体罰を使うこと、周囲からのプレッシャーが強く感じられる養育者が強引な手段を使うことなど、思い当たりませんか。


続けて、以下のように結論づけています。


「体罰」がなくならないのは、「体罰」を続ける人の態度や性格、知識や能力の問題ではなく、教え手の育成システムや教える現場の環境が大きく影響していると考えられるのです。

つまり、子育てにおいて見れば、

養育者が養育力を育める仕組みや、養育者の子育て環境が

体罰の使用に大きく影響していると論じています。

もし養育者が、

体罰など使わない気の長い前向きな子育てが身近にあって自然に学べたり

ポジティブ・ディシプリンのようなプログラムに参加できたりすると違ってくるし

子どもが泣く声を迷惑とするような環境が変わり、

養育者や子どもに温かく声をかけるような環境になれば

体罰はなくなるだろうと言っています。


体罰がなくなるために必要なことを3つ述べています。

  • 教え手が望ましい教え方を学べる機会を確保することと、

  • 教え手が、なぜそんな風にして欲しくない行動するのだろうと考え、より良い行動が取れるような教え方を、時間がかかったとしても、周囲が支持すること

例えば、学び手が学ぶべき行動を具体的で分かりやすく明確にすること、今できていることから段階的に指導を進めること、タイミングよく褒めたり力付けるなどの工夫があげられています。


ポジティブ・ディシプリンでは、

⻑期的な視野に立った子育てを目指し、以下について考えていきます:

  • わかりやすいコミュニケーション

  • お互いを尊重した人間関係の構築

  • 子どもたちが困難な状況に対処する手助け

  • 子どもたちに、共感、非暴力、他者への尊重、そして子どもたち自身の権利について教えること

ポジティブ・ディシプリン・プログラムを多くの方に知っていただき

体罰によらない子育ての方法を一緒にチャレンジしたいと準備しております。


コロナの状況を考慮して、プログラムの実施が可能か検討しており、感染が少ない地域での実施について、連携する団体が開催するプログラムをご案内できそうです。

プログラム実施のご案内は、Facebookにてさせて頂きます。

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