子どもが赤ちゃんの時、興奮して泣き出すと、よしよしして子どもの興奮をなだめました。子どもの体力が尽きるまで頑張りました。
子どもが少し大きくなって、片言で怒ったり泣いたりすると、気を紛らし、「まあまあ、そう怒りなさんな」ととりなしました。
子どものネガティブな感情、例えばイジワルな気持ち、怒り、泣き、大騒ぎする様子には、「そんな気持ち持たなくてもいいよ」と言わんばかりに、ごまかし、諭し、時には「しつこい」と責めることをしました。
小学校に入って、子どものかんしゃくの爆発がすごく、戸惑いと不安を覚えるようになりました。
私が子育てで途方にくれる時、支えてくれるのはポジティブ・ディシプリンです。
ポジティブ・ディシプリンでは、
子どもの成長に応じて起こる衝突や課題が、発達に沿って書かれており、
読み直すことで、子どもの力を伸ばす形で問題を考えられるアイディアが生まれます。
書籍を読み直し、目に留まったのは次の文章でした。
親が自分の気持ちを尊重してくれるという信頼が育まれたとき、子どもは安心感を覚え、もっと自信を持つようになります。 お子さんの気持ちを尊重するというのは、以下のようなことを意味します。
お子さんが気持ちを言葉にできるように手助けすること 自分も同じ気持ちになることがあるよと、お子さんに伝えること お子さんを侮辱したり、恥をかかせたりしないこと
私が悩み、考え、見出した驚くべき発見は、
「もしかして、かんしゃくに子ども自身困っていて、かんしゃくを起こす自分を好きになれず、自信を失い、苦しんでるのかもしれない」
ということでした。
きっかけは、かんしゃくがすごくて、私が途方にくれ、手に負えないと逃げ出したい気持ちの時の子どもの怒鳴り声でした。
「お母さん嫌いにならないで!!!!!!」
散々私の嫌いなネガティブな気持ちを吐き出して、私のことを攻め立て、私のことを嫌いだと言っていたのに、最後に絞り出した子どものこの発言にびっくりしました。その時、
ああ、この子は、自分がかんしゃくを起こせば起こすほど、私がイヤなのは分かっていて、嫌われてしまうと思っているのに、かんしゃくを止めることができず、苦しんでいるんだ
と思いました。
そこから、書籍にあった「お子さんが気持ちを言葉にできるように手助けすること」を始めることにしました。
私が気持ちを受け止め、言葉に変える。例えば
「怒ってるのね。怒ってるから言い方がきついよ」とか、
「イジワルな気持ちになっちゃうよね。でも家まで我慢して帰ってきたんだね」
「イライラしてるんじゃない?落ち着かないね。何かまずは食べようか」
「私に怒鳴ったりイジワルな言い方をしないで。『怒ってる』って言ったら伝わるよ。話を聞くから」など
そうして、対応してみると子どものイライラや怒りには
新しいチャレンジが始まる前の興奮
大きな変化がある前の不安
上手くいかない悲しみ
理不尽なことをされ、消化できない痛み
自分を受け入れられない苦しみ
人に粗末にされたと感じた怒り
と様々な気持ちがあることが分かってきました。
子どものネガティブな気持ちを受け止めるのはとても重荷で、苦しかったのですが、
振り返ってみると、私が覚悟を持って受け止めようと格闘するのを見て、
不思議と子どもも、自分の気持ちに向き合う勇気が芽生えたように感じます。
ポジティブ・ディシプリンでは、子どもの(ネガティブな気持ちも含め)気持ちを尊重する大切さを伝えているのは、2〜3歳の発達を述べる部分です。
私はポジティブな気持ちばかり注目し、
ネガティブな気持ちを尊重することが抜けて、子どもが小学校を迎えました。
そこから、何年もかけ、
子どもの気持ちや自分の気持ちに注目し言葉にし、一緒にどう扱うか話してきました。そして、思春期に入る子どもに成長を感じることが多くなりました。
「感情の発達と障害」(著者:澤田瑞也)には以下のような記載があります。
子どもが経験する怒り、不安、苦しみなどのネガティブな感情に巻き込まれることを嫌い、子どもの感情を無視し、それをなかったことにしたり、そう言った感情を持つのは良くないといった態度を示す親が増えている。親自身も、自分の中のそのような感情にとまどい、扱いかねて、正面から向き合えないことが原因であるように思われる(略) 「なんとなく気が晴れず、モヤモヤしていて体調が悪い」としか感じられない子どもやおとなが多くなってきている。これらの感情や気分に正面から向き合えないまま、混乱しているということであろう。
感情は、生理学的活性化、表情と声のトーン、行動へのあらわれの組み合わせとして理解されうる。子どもがまず学ぶことは、怒り、恐れ、幸せのような基本的情動を識別し、その意味を把握することである。そして表情を識別したうえで、それぞれに結びつく感情を表す言葉を獲得する。さらに、感情を引き起こす状況についての知識は、子どもが状況の手がかりから他者と自分の感情を推測するのを可能にする。
感情をコーチする親は、自分自身の感情に注目すると同時に子どもの感情にも注目し、感情を抑えるべきとは考えない。子どもの感情をサポートし、またどのように苦しみに対処するかについての示唆や指導を行い、子どもの感情調節の発達を促す。
最初、子どもは
感情のコントロールにはすっかり自信を失っていて
「またやっちゃった」「もうダメだ」「全然変わってない」と苦しそうでした。
しかし、私が粘り強く
「前よりも、かんしゃくの回数は減ってるよ」「怒り続ける時間が短くなっているよ」
と励まし続けると、「もうダメだ」とは言わなくなりました。
ネガティブな感情について、教えることもなく、
子どもがその感情を持つと避ける、責める、
そんなことをしていたと、今は申し訳なく思っています。
せめて私の反省が、どなたかの役に立って欲しいと
ポジティブ・ディシプリンの講座でこの話をお話ししたりしています。
ブログからも、私のような困っている養育者に届きますよう願います。
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