ポジティブ・ディシプリン®︎では、子どもを理解し、信頼感のある親子関係を築くために
#気質 について学びます。
私は、以前シュタイナー教育に興味があり
シュタイナーが人間理解に用いていた気質の考え方を持っていました。
ちなみに、シュタイナーの気質とポジティブ・ディシプリン®︎の気質は全く違います。
しかし、人間にはもともと持ち合わせているその人の行動傾向・あり方がある、という考え方は同じです。言い換えると、いくら親が子どもに(もちろん自分が自分に対してでも)こうであって欲しいとやらせても、その子が持ち合わせた気質のため、思い通りにはいかないと言えるでしょう。
気質について、ポジティブ・ディシプリン®︎では7つに注目します。
イメージしやすい気質は、以下でしょうか。
活動性 …体をずっと動かしている。例えば公園でいろんなところに行き、遊具で遊び、追いかけっこして遊ぶ「活動性」が高い子がいれば、砂場など一つのところに留まって体自体はそんなに動かない遊び方をする「活動性」が低い子がいる
規則性 …日々、同じ時間帯に自ずと起きたり寝たりする「規則性」が高い子がいれば、日々違うリズムでも気にならない「規則性」が低い子もいる
感情(表出)の強さ …喜怒哀楽が分かりやすく表情豊かな「感情の強さ」が高い子がいれば、穏やかでお利口さんと言われやすい「感情の強さ」が低い子もいる
適応性 …新しい人・場所・食べ物など興味を持って近づく「適応性」が高い子もいれば、場所見知り・人見知りの「適応性」が低い子もいる。(私個人としては、「適応性」ではなく「新奇接近性」の方がしっくりきます)
私の子育てで、気質を知ったことによって楽になったこと・感謝していることがあります。
我が家の子をポジちゃんと名付けてお話しすると
ポジちゃんは、新しいものに興味を持ち近寄っていき、試します。新しい料理を好み、初めての人でも臆することはありません。対して、親である私は、子どもの頃家にお客さん(知らない人)が来るのはすごく嫌で、初めての食べ物は警戒し、昔、担任の保育園の先生に「最後までなつきませんでした」と言われたような子どもでした。
ポジティブ・ディシプリン®︎の気質から見ると
ポジちゃんは「(新しいことへの)適応性」が高いが、私は適応性が低い
私から見るとポジちゃんは、新しいものに近づくので危なっかしい気がするし、近づくことで嫌な目に合い傷つけられるのではと不安で、止めたい気持ちになります。一方で、この子は様々な人や場所でもやっていける子だと思いました。
しかし、小学校入学という新たな環境に入ると、下校するなりポジちゃんはずっと学校で起きた嫌だったことを話しました。
新しい小学校のやり方、新しい先生のやり方、新しい集団の文化に違和感を感じやすく、以前との違いにストレスを感じやすいのです。
あんなに楽しみにしていた新しい環境に、なんで文句ばかりの毎日なんだろう?ポジちゃんが可哀想な目に遭っているのか?それとも、ポジちゃんが文句ばかり言う子なのか?
私は?????と分からなくなり、ポジちゃんへの理解に混乱していたと思います。
期待はずれや裏切られたような気持ちを感じて、いらだち
ポジちゃんの文句ばかりを聞くと嫌な気分になり、ポジちゃんのネガティブな受け取り方を改めさせないといけないと考え、ポジちゃんの気持ちを聞くよりも考え方・感じ方を否定していたように思います。
小学校中学年頃に、ポジちゃんが文句ばかりを言うことは、毎年毎年春に起こることに私は気づきました。私はポジちゃんが「(環境の変化への)順応性」が低いのかもしれないと、始めて考えました。
すると、ポジちゃんが「新しいクラス楽しみ」「新しい先生楽しみ」と言っていたのに、いざ新しい生活が始まると、全然逆のネガティブな気持ちばかり言い出すことへの理解ができるようになりました。
子どもは「(新しいことへの)適応性」が高いが「(環境の変化への)順応性」が低いんだ
そこから、私の子育てが変わりました。
ポジちゃんの行動自体は変わってないのに、私なりにポジちゃんのことを理解でき納得できたことで、いらだちがグッと減りました(理解という温かさが与えられるようになりました)。
私が勝手にポジちゃんに、どんな環境でもうまくやっていくと過剰に期待して
期待はずれや裏切りと感じていたことに気づきます。
ポジちゃんへ
「毎年、先生が変わって新しい環境になるとイライラするんじゃない?」と責める言い方ではなく、一緒に考えられるように話せました(枠組みも示せるようになりました)。
そのうちに、
「新学年、最初はクラスメートや先生とか、学年の役割が変わるから、ストレスかかるけど乗り越えようね。結局うまくいくから」と、ポジちゃんの苦労することに対し、見通しを示せるような声掛けができるようになりました。
私に学校であったストレスをぶちまけるポジちゃんに
「家では話すのはいいけど、友達に言い回ると悪口を言う子みたいになるから。ペラペラ喋らない信頼できる友達や、うちでだけそういうお話ししてね」と、ストレスの扱い方を教えるようになりました。
私が混乱したのと同じく、ポジちゃんが自信を失わないようにと声をかけることができるようになりました。
「新しいことには前向きで興味があるんだけど、新しい環境に慣れるまでにイライラすることあるよね。頑張りすぎないようにね。しっかり休んで。じきに、楽しく自分らしくなるんだから」
順応性の低いことによる強みにも気づくことができました。
「ポジちゃんって、前のこと大事にするよね。(転校)前の学校のお友達とも文通をして、ずっと友人関係続けてられるし。すごいね。私はすぐ目の前のことばかり考えて、前の学校の子に手紙とか面倒でやれなかったもんね」
こうやって、気質への理解のおかげで
ポジちゃんが高校生になる頃には、ポジちゃん自身が自分の気質との付き合い方を覚えて、自分自身を生きているように感じます。
気質でポジちゃんを理解していなかった時のことを振り返ると
ポジちゃんに対しては、気持ちを聞くよりも考え方・感じ方を否定していたように思います。生まれ持った気質から湧き起こる自分自身の気持ちを否定されてしまい、親に怒られるのだから、ポジちゃんは自分の気持ちを出してホッとできる場所がなかっただろうな。
私自身としては、適応性が高く新しいものに近づくポジちゃんを危なっかしい、不用意で衝動的な子かもしれないと疑いを向け、不安からピリピリしたり、必要以上にポジちゃんの好奇心を阻んでいたこともあったと思います。せっかくの子どもの性質を強みとして捉えられず、不要なストレスを抱えていたのかもしれません。
気質で子どもの行動を考えてみた時
子どものことを理解でき、納得できることがあります
子どもが自分の行動を自覚して、自分でうまく振る舞えるように、一緒に考えるサポートができることがあります
子どもが持つ気質ゆえに子どもが苦労することに対し、見通しを示せるような声掛けができることがあります。またストレスの扱い方を教えられることがあります
子どもが持つ気質ゆえに子どもが苦労することに対し、自信を失わないように声をかけることができます
子どもが持つ気質ゆえの強みに気づくことができ、子どもに敬意を払い、子どもを力付けられることがあります
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