コロナによって人類の“安心”が脅かされている状況なので
子どもの“安心”について考えてみたいと思います。
体罰によらないポジティブな子育て『ポジティブ・ディシプリン』は、
効果的な子育てに必要とされる、4つの原則をお伝えしています。
その原則の一つは
「温かさ」と「枠組み」を一緒に与えることです。
私たちファシリテーターは
「温かさ」を、[子どもの安全・安心]
「枠組み」を、[情報や学びのサポート]
と言い換えて説明します。
子どもに限らず、人の学びには安心で安全な環境が必要です。
学習動機づけの研究者は以下のように述べています※1。
平穏なときにこそ、赤ちゃんは緊急性の低い課題への対処を習得するー 食べる必要もなく怖くもない物体の性質を学んだり、 失敗したときの罰が自分の意図しない静寂だというだけでもガラガラを鳴らすヒモを引っ張るのに適切な力加減を学習したりするなど、 周囲の環境へ全般的に対処するための能力や知識を幅広く蓄積していくのである。
他にも、相手の可能性を信じ、自我の成長をサポートする専門家も、以下のようなことを述べています※2。
相手の欠点、痛いところに触れるとき、触れることによって新しいもの、例えば欠点を乗り越えて何か良いものが出てくると信じて行うと、どこかで温かさが出てくる。しかし、痛いところをついていけばいいとというやり方は、温かさが欠けて、相手と続かなくなる。
つまり、「温かさ(安全・安心)」があると、
人は幅広い能力や知識を蓄積していき
温かさがないと、
相手に良い変化が起こらない、もしくは相手と関係が悪くなる
という傾向があるということでしょう。
なぜ、子どもの学びに「温かさ」が必要か、このコロナ禍で、よく理解できるかもしれません。
今、かなり安心が脅かされていると感じている方も多いのではないでしょうか。
何に安心を脅かされているでしょう。
自分の健康に不安があるのでしょうか。
大事な人を病気で失うのが怖いでしょうか。
自分や身内の行動が監視されているような、何か失敗したら攻撃されるような感覚でしょうか。
安心が脅かされているとして、どんな気持ちや行動が起こっているでしょうか。
イライラしませんか。
なかなかやるべきことに集中できない感じがありますか。
誰かのせいにして、誰かを責めたくなることはあるでしょうか。
このような感覚がある人は、子どものストレスについて、とてもよく理解できると思います。
国立成育医療研究センターが発信する
「新型コロナウイルスと子どものストレスについて」で以下のような記載があります。
⑤お子さんの成長に応じたケア編 より
(お子さんに)こんなことはありませんか? ③ 学童期(6歳~12歳頃) □イライラする 泣く □攻撃的になる □そわそわと落ち着かない…(他)
※文頭の(お子さんに)は私の方で補足しています。
自分の気持ちを大事にして、自分の気持ちと自分の振る舞いの関係に気づくとき、他の人の気持ちや行動の理由も理解できることがあります。
私たちの不安は大切な自分の体からのメッセージと言えます。
安心できるにはどうしたらいいか、考えたいですね。
そして、今、子どもたちは、生活が変わり、大人の不安感が高い中、大きな不安を無意識に抱えているかもしれません。
どんな気持ちでしょう。
セーブ・ザ・チルドレンさんが、子どもの気持ちを聞いています。
子どもの気持ちを想像するのに、役立つものです。
「お兄ちゃんと一緒でも留守番が怖い」(小2・神奈川県) 「友だちがこいしい」(小3・福島県) 「もとから心配性なのもあって、病気と死への恐怖を感じています」(中2・千葉県) --本アンケートに寄せられた回答には子どもの気持ちがあふれている。
今日は、子どもの日なので、気持ちを込めて、子どもの安心を支えるのはいかがでしょう。
私は、ティーンエイジャーの子どもにこんなふうに話そうかと思います。
「今、大人でも緊急事態だと不安と緊張の中にいるんだから、
あなたたちが心身健康に過ごしてくれていることは、十分すばらしいこと。
勉強のことが心配みたいだけど、まずは自分が生活に気をつけてやっていけてることがすごいことだと思って欲しい」
そして、友達と会いたいなど、子どもの気持ちを聞き、協力して一緒に考えて、最善の方法で実現したいです。
子どもが小さかったら
「今日も元気に過ごしてくれてありがとう。お母さんが病気になっても、絶対いつも通り元気になるから、安心してね」
と伝えるかもしれません。
子どもの日、改めて子どもの存在に、成長に感謝したいと思います。
「温かさ」について関連記事:
※1 『モチベーション再考―コンピテンス概念の提唱』,2015,ロバート・W. ホワイト (著) , 佐柳 信男 (翻訳), 新曜社
※2 『カウンセリングの実際』,2009,河合隼雄(著) ,河合俊雄(編),岩波書店
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